【本日のテーマ】「その話はしないで」
今回は「その話題は触れてほしくない」「その件は話したくない」ということをたった3語で伝えられるフレーズをご紹介します。さっそく、ポイントをおさらいしてみましょう。
◆日本人が間違えやすいポイント
日本人は、外国人上司とともにクライアントが待つロビーへ向かっています。ミーティングで伝えるべき内容を事前に確認するため上司に質問をしたところ、返ってきたのは Don’t go there. という一言でした。これを聞いた日本人は「そこに行かないで」と言われたと誤解し、クライアントはロビーで待っているのになぜだろう…と疑問に思います。
Don’t go there. は、文字通り「そこに行かないで」という意味もありますが、ほかに「その話はしないで」「その話題には触れないで」という決まり文句としても使われています。あまり話したくないことが話題にのぼったときや、答えにくい質問を受けたとき、日本語で「その話はやめて」「その件はこれ以上聞かないで」などと言うことがありますね。まさにそれにあたる英語表現です。
つまり外国人上司は、「特許に関して何を伝えるか?」とたずねた日本人に対し、「その話(=特許の話)はしないで」という意味で Don’t go there. 言ったのです。
Don’t talk about that.(それについて話さないで)、Let’s avoid talking about that.(それについて話すのは避けましょう)、Let’s not say anything about that.(それについては何も言わないようにしましょう)といったフレーズに置き換えることが可能です。
<Don’t go there. を使った会話例>
ビジネスシーンだけではなく日常会話でもよく使いますよ。
A: Let’s talk about why we lost our biggest client.
なぜ最大のクライアントを失ったか話し合おう。
B: Don’t go there. It won’t do any good.
その話はしないで。意味がないよ。
A: Did you used to be friends with Mary? Why don’t you like her now?
メアリーと友達だったよね? どうして今は彼女を好きじゃないの?
B: Don’t go there. I don’t want to talk about it.
その話題には触れないで。話したくないんだ。
◆知っておきたい英語表現
漫画の中でI mean, don’t talk about the patent before we sign an NDA. という外国人上司のセリフに登場した NDA という言葉は、 non-disclosure agreement の略です。
disclosure は「開示、公表、暴露」、agreement は「契約、協定、同意」という意味なので、non-disclosure agreement で「非開示の契約」→「秘密保持契約」を表します。
<NDAを使った例文>
Before we talk about the details, everyone needs to sign an NDA.
詳細について話し合う前に、全員が秘密保持契約に署名する必要があります。
*sign an NDA:秘密保持契約に署名する
Henry told the newspaper reporter about our plan despite signing an NDA.
秘密保持契約に署名したにもかかわらず、ヘンリーは我々の計画について新聞記者に話した。
*despite:~にもかかわらず
漫画イラスト: トーマス・オン・デマンド