【本日のテーマ】「気のせいです」
今回は思い込みをしている相手に、実際はそうではないことを伝える英語表現が登場します。さっそくポイントをおさらいしてみましょう。
◆日本人が間違えやすいポイント
公園でのピクニック。おいしそうな料理をたくさん作ってきてくれた外国人男性を見て、日本人男性は He probably cooked for you. I think he’s into you.(きっと君のために料理したんだよ。彼、君に気があると思うな)とこっそり女性に伝えました。すると女性は It’s all in your head. と返答。日本人はこのフレーズを直訳でとらえてしまい、「僕の頭の中」ってどういうことだろう?と不思議そうな表情を浮かべてしまいます。
It’s all in your head. をそのまま訳すと「それは全てあなたの頭の中にあることです」となりますが、be all in one’s head は「~の頭の中だけにある➝~の思い込みである」というイディオム。つまり、It’s all in your head. は、何かを勝手に思い違いしている相手に対して「あなたの頭の中にあることです➝あなたの気のせいです、君の思い過ごしです」と伝えるフレーズです。
ネガティブな思い込みや根拠がないことにとらわれている相手に対して「考えすぎだよ、そんなことないよ」と励ましたり、安心させるニュアンスでも使われます。
会話例での使い方を確認しましょう。
<会話例1>
A: This water tastes funny.
この水、変な味がするわ。
B: Really? It tastes okay to me. It’s all in your head.
そう?味は大丈夫だけど。気のせいだよ。
<会話例2>
A: Recently, you’ve been distant. Are you cheating on me?
最近、君はよそよそしいね。浮気してるの?
B: Of course not! I’m just busy with work. It’s all in your head.
そんなわけないわ!仕事が忙しいだけ。あなたの思い過ごしよ。
<会話例3>
A: Sometimes I feel like everyone’s judging me.
みんなが私を批判しているように感じることがあるの。
B: Don’t worry. It’s all in your head.
心配しないで。気のせいだよ。
<会話例4>
A: I always feel like I’m forgetting something.
いつも何か忘れているような気がするんだ。
B: Maybe it’s just in your head. You should take a rest.
たぶん気の思い過ごしだよ。休んだほうがいい。
◆さらに応用TIPS!
It’s all in your head. のように、相手の気のせい、思い過ごしであることを伝えるフレーズをご紹介します。
●It’s all in your mind.
It’s all in your head. の「head(頭)」を「mind(心)」に置き換えた言い回し。直訳は「それは全てあなたの心の中にあることです」ですが→「あなたの気のせいです、君の思い過ごしです」という意味になります。
<例文>
A: The client doesn’t seem to like my proposal.
クライアントは僕の提案を気に入っていないようだ。
B: It’s all in your mind. They were nodding in agreement.
気のせいだよ。彼らは同意してうなずいていたよ。
●It’s just your imagination.
imagination は「想像、空想」。「それは単なるあなたの想像です、それはあなたの空想に過ぎない」と、相手の発言に対してそれは事実とは異なる・実際には起こっていないと伝えるフレーズ。「ただの気のせいだよ、君が思い込んでいるだけだよ」といったニュアンスで使うことができます。
<例文>
A: Kate is always looking at me. Does she like me?
ケイトはいつも僕を見てる。僕のこと好きなのかな?
B: It’s just your imagination. She’s looking at the whiteboard behind you.
ただの気のせいよ。彼女はあなたの後ろのホワイトボードを見ているのよ。
●You’re just seeing things. / You’re just hearing things.
こちらのフレーズも「ただの気のせいだよ」という意味。目に見えもしない何かが見えた、聞こえないはずの音や声が聞こえたと主張する相手に使います。「幻でも見たんだよ」「幻聴だよ」といったニュアンスです。
<例文>
A: Look! There was someone looking in the window!
見て!窓をのぞいている人がいた!
B: Huh? You’re just seeing things. That’s a tree.
え?ただの気のせいだよ。あれは木だよ。
<例文>
A: Did you hear that sound just now?
今の音、聞いた?
B: No, I didn’t hear anything. You’re just hearing things.
いや、何も聞こえなかったよ。ただの気のせいだよ。
漫画イラスト: 高篠裕子