【本日のテーマ】「具合が悪い」
今回は、体調が悪いことを表すカジュアルな言い回しが登場します。さっそくポイントをおさらいしてみましょう。
◆日本人が間違えやすいポイント
日本人は、友人たちとの待ち合わせで駅に向かいました。待ち合わせ場所にエマがいないことを不思議に思った日本人が Where’s Emma?(エマはどこ?)とたずねると、先に到着していた外国人男性が She can’t come today. She’s under the weather. と返答。under the weather を「天気の下で」という直訳の意味でとらえた日本人は、エマが「天気の下にいる=雨に濡れている」と誤解し、Oh, is she all wet?(え、彼女ずぶぬれなの?)と聞き返してしまいました。
weather といえば「天気」という意味がまず思い浮かびますが、She’s under the weather. と言った外国人男性は、決して天気の話を続けたわけではありません。under the weather には「具合が悪くて、体調が優れなくて、調子が良くなくて」という意味があり、She’s under the weather. で「彼女は具合が悪い」となります。つまり、外国人男性はエマは体調が悪いために今日は来られないと説明していたのです。
また、最後にShe’s just not feeling well.(彼女は気分が良くないだけなんだ)と説明していることからもわかるように、under the weather は「深刻な病気ではないけれど具合が悪い、本調子ではない」といったニュアンスになります。
フレーズの起源は諸説ありますが、悪天候による荒波で船酔いしたり具合が悪くなった乗組員を、悪天候にさらされる船首部分 ( = under the weather bow)から、悪天候の影響をうけない船の下甲板に移動して休ませたことに由来すると考えられています。そこから under the weather bow の bow が省略され、under the weather が「天候の影響下に置かれて船酔いする状態」➝「具合が悪い状態」を表す言い回しとして使われるようになりました。
be under the weather や feel under the weather のように、be動詞や動詞 feel を伴って使いますが、I’m / I feel under the weather. なら「私は具合が悪い、私は体調が優れない」という意味に。具体的な理由はわからないけれど「なんだか調子がイマイチ…」というときは、誰にでもありますよね。そんなちょっとした疲れや軽い風邪、寝込むほどではない体調不良を表現するのにピッタリの言い回しです。
会話例で、今回のキーフレーズ under the weather の使い方を確認しましょう。
<例文1>
a bit under the weather:少し具合が悪くて、ちょっと体調が優れなくて
A: How are you feeling today?
今日の気分はどう?
B: I’m a bit under the weather.
ちょっと調子が悪いんだ。
<例文2>
feel under the weather:具合が悪い、体調が良くない
A: Are you coming to the party tonight?
今夜のパーティーに来る?
B: I wish I could, but I feel under the weather, so I’ll have to stay home.
できれば行きたいけど、具合が悪いから家にいることにするよ。
<例文3>
look/seem under the weather:具合が悪そうに見える
A: You look under the weather. What’s wrong?
具合が悪そうだね。どうしたの?
B: I couldn’t sleep at all last night.
ゆうべは一睡もできなかったんだ。
under the weather は体の不調だけでなく、
After the breakup, he’s been under the weather.
(恋人と別れた後、彼は気分が落ち込んでいる)
She’s been under the weather since her best friend moved away.
(親友が引っ越して以来、彼女は元気がない)
のように、気持ちが沈んでいる状態を表現することもできます。
◆さらに応用TIPS!
under the weather のように、体調不良を表すその他の英語表現をチェックしましょう。
●not feel well:具合が良くない、気分が良くない、体調が優れない
I don’t feel well. / I’m not feeling well. は、重度ではない体調不良を表す表現です。軽い風邪や何となく気分が晴れないときなどに使います。
If you don’t feel well, we should cancel the weekend trip.
君の具合が悪いなら、週末の旅行はキャンセルしよう。
She’s not feeling well today, so she decided to take a day off.
彼女は今日体調が良くないので、休みを取ることにした。
●in bad shape:調子が悪くて、体調不良で
体調が良くないことを表す言い回しですが、こちらは長期間の病気やけがなど、 under the weather よりも深刻な健康状態を指します。また体の症状以外に、物事の状態が良くないことを表すときにも用いられます。
The athlete found himself in bad shape after the accident.
選手は事故後、ひどい状態に陥っていることがわかった。
The economy is in bad shape due to the recent financial crisis.
最近の金融危機の影響で景気は悪化している
●sick:病気の、体調が悪い
I’m sick.(私は病気です)は心身の病気や症状など、健康上の問題があることを直接的に表現するフレーズなので、軽い不調で使われることはありません。
また、be動詞ではなく動詞 feel を使った feel sick の場合、一般的に吐き気がするという意味の「気持ち悪い、気分が悪い」という表現として用いられるため、状況にあわせて使い分けましょう。
I didn’t know she was sick because she always seemed so lively.
いつも元気そうにしていたから、彼女が病気だとは知らなかった。
I feel sick because I drank too much yesterday.
きのう飲み過ぎたので気持ちが悪い。
漫画イラスト: トーマス・オン・デマンド