【本日のテーマ】「度を越す」
今回は、言動などが行き過ぎていることを伝えるときに使えるフレーズが登場します。さっそくポイントをおさらいしてみましょう。
◆日本人が間違えやすいポイント
会議で出たジョンのアイデアについて感想を述べた日本人に、外国人はIt’s good to be creative, but he goes too far.と言いました。go too far を文字通り「遠くに行き過ぎる」という意味でとらえた日本人は、ジョンがどこか遠くに行くのかと、かみ合わない質問をしてしまいます。
Our break is only 15 minutes, so we can’t go too far.(休憩時間はわずか15分なので、遠くに行き過ぎてはいけない)のように、go too farは直訳すると「遠くに行き過ぎる」ですが、このほかに「(言動・事柄などが)度を越す、やり過ぎる」という意味もあります。
too farは「極端に、余計に」と、一般的な程度から大きく外れていることを表しており、今回のシチュエーションでは、It’s good to be creative, but he goes too far. = 独創的なのはいいことだけど、度を越しているとジョンのアイデアに対してダメ出しをしているニュアンスで使われています。
さっそく会話例で使い方を確認しましょう。
<会話例1>
A: Don’t you like my logo design?
私のロゴデザインが気に入りませんか?
B: You went too far. We just need something simple.
度を越してるわ。シンプルなものでいいの。
<会話例2>
A: I prepared a 100-page report for the meeting.
会議のために100ページの報告書を準備しました。
B: You went too far. All we need is a short summary.
やり過ぎだよ。必要なのは概略だけだよ。
<会話例3>
A: Let’s make lunch for everyone. We’ll serve steak and lobster.
みんなにランチを作りましょう。 ステーキとロブスターを出します。
B: That’s going too far. Let’s just make sandwiches.
行き過ぎだよ。サンドイッチだけ作ろう。
go too farはファッションや髪型、体形などに対して言及するときにも使われます。
たとえば、
You can wear what you want, but don’t go too far. (好きなものを着ていいけれど、行き過ぎないで)
と忠告するフレーズ。
また、度を越したヘアチェンジやダイエットなどをした人について述べるときには
She went too far with her hair.(彼女は髪をやり過ぎた)
She’s on a diet, but she’s gone too far.(彼女はダイエット中だが、やり過ぎだ)
のように表現できます。
そのほかにも、
配慮に欠いた言動を取った人をたしなめるときに使う
That’s going too far.(それは言い過ぎだ)
自身の言動を省みる
Did I go too far?(言い過ぎたかな?)
なども覚えておくと便利なフレーズです。
◆さらに応用TIPS!
go too farの類似表現には、overdo it(やり過ぎる、無理をする)や go overboard(やり過ぎる、調子にのる)などがあります。
●overdo it
I know you want to succeed in your new job, but don’t overdo it. You’ll burn out.
新しい仕事で成功したいのはわかるけど、やり過ぎないで。疲れ果ててしまうよ。
→overdoは文字通り「やり過ぎる」という意味。
会話ではよく it を伴って使われます。Don’t overdo it. は「やり過ぎないで、無理しないで」と相手を気遣う定番表現です。You look tired these days. Don’t over do it.(最近疲れているみたいね。無理しないで)は日常生活でもよく使う言い回しです。
●go overboard
Mike went overboard and spent $1,000 on decorations for the party.
マイクは勢いあまってパーティーの装飾に1,000ドルを費やした。
→overboard は「船外に」という意味。go overboardの直訳は「船外に行く」なので、もともと「(船から)転落する」という意味があるのですが、船外に飛び出すイメージから、勢いあまって「やり過ぎる、調子にのる」といった意味でも使われます。お金を使い過ぎたり、料理を作り過ぎたり、「無駄に何かをやった」ニュアンスを含むフレーズです。
漫画イラスト: トーマス・オン・デマンド