【本日のテーマ】「申し分ないです」
今回は、十分に満足していることを伝える英語表現が登場します。さっそく、ポイントをおさらいしてみましょう。
◆日本人が間違えやすいポイント
ひさしぶりに会った日本人男性と外国人女性は、レストランで食事をしながら近況報告をしています。先月転職したという友人に新しい仕事についてたずねると I couldn’t ask for more. という返事が返ってきました。
これを聞いた日本人は、外国人女性が「私はそれ以上頼めなかった」と言ったのだと誤解し、You wanted to ask someone to do something?(誰かに何か頼みたかったの?)と聞き返します。
I couldn’t ask for more. は not がついているので否定の意味のフレーズと思うかもしれませんが、実はその逆。「申し分ない」と十分満足していることを伝えるポジティブな表現になります。
この couldn’t は「~のはずがないだろう」というニュアンスで、「これ以上望むはずがないだろう」→「申し分ない、この上なく満足している、最高だ」という意味合いです。日常会話はもちろん、ビジネスの場においても、交渉・取引などで満足がいく結果を得られたときに使うことができます。
会話例で使い方を確認しましょう。
<会話例1>
A: How do you like your new job? Is it going well?
新しい仕事はどう?順調?
B: I couldn’t ask for more!
申し分ないよ!
<会話例2>
C: Did the negotiations go well?
交渉はうまくいったの?
D: We couldn’t ask for more. We got a great deal!
ばっちりさ。いい取引ができたよ!
<会話例3>
E: You’re so lucky to have this view from your balcony!
バルコニーからこの景色を眺められるなんていいなぁ!
F: Yeah, I couldn’t ask for more.
うん、最高だよ。
I couldn’t ask for more. がパッと思い浮かばないときは、Everything is perfect / wonderful. といったシンプルな表現を使って満足している様子を伝えることも可能です。
<会話例4>
A: I heard you moved into a new apartment.
新しいアパートに引っ越したんだってね。
B: Yeah, it’s really nice. Everything is perfect!
うん、すごく素敵なの。すべてが完璧よ!
<会話例5>
C: How do you like living and working in Hawaii?
ハワイでの暮らしと仕事はどう?
B: Everything is wonderful. I love it here.
すべてが素晴らしいんだ。ここが気に入っているよ。
◆さらに応用TIPS!
「~のはずがないだろう」という意味の couldn’t を使った、否定がポジティブな意味に転じるフレーズをいくつかご紹介します。
●It couldn’t be better.
「これ以上良くなるはずがない、これよりも良いことはない」→「最高だ、絶好調だ」という意味で、この上なくいい状態であることを表します。
会話では、How is your new job?(新しい仕事はどう?) ▶ Couldn’t be better. (最高だよ)のように、主語 It を省略した形でよく用いられます。
また、How are you doing?(調子はどう?) ▶ Couldn’t be better.(絶好調だよ)も定番の会話表現ですが、こちらの場合は、I couldn’t be better. の主語 I が省略されています。
●I couldn’t be happier.
happierは形容詞 happyの比較級。「これ以上幸せになるはずがない、これ以上の幸せはありえない」→「最高に幸せだ」となり、幸せいっぱいの気持ちを表現できるフレーズです。
Congratulations on your wedding!(結婚おめでとう!)▶ Thank you! I couldn’t be happier.(ありがとう!最高に幸せよ)のように使います。
●I couldn’t agree more.
「もう賛成できません」という意味のように思えるかもしれませんが、「これ以上同意するはずがないだろう」→「全く同感だ、大賛成だ」と相手の意見に完全に賛同するフレーズです。I couldn’t agree with you more. という言い方もあります。
漫画イラスト: トーマス・オン・デマンド