【本日のテーマ】「はじめからやり直す」
今回は、scratchという単語を使った英語表現が登場します。「スクラッチ」という言葉自体は日本人にもなじみがありますが、start from scratch はいったいどんな意味なのでしょうか。さっそく、今回のポイントをおさらいしてみましょう。
◆日本人が間違えやすいポイント
クライアントとの電話を終えたあと、外国人のキャシーはどこか沈んだ様子。日本人が電話の内容をたずねると、どうやら企画書の大幅な変更を頼まれたようです。キャシーは続けて I’ll have to start from scratch. と言いました。このフレーズを知らなかった日本人は、クラブでDJが行うパフォーマンスの「スクラッチ」を想像しますが、これでは会話が成り立ちません。
名詞の scratch の代表的な意味は「ひっかき傷、かすり傷」ですが、ほかに「スタートライン、出発点」という意味もあります。これはもともとボクシングやクリケットといったスポーツ、また競馬などのレースにおいて、地面を引っかいて描かれたスタートラインに由来します。競技開始前に人や動物がそのラインの後ろにつくことから、from scratch は「スタートラインから」→「最初から、ゼロから」という意味として使われるようになったと言われています。
from scratch の頭に動詞の start をつけた start from scratch で「はじめからやり直す、ゼロからはじめる」という意味になります。この類似表現には start from the beginning / start all over again / go back to square one などがあります。
start from scratch を使った会話例を確認しましょう。
<ビジネスシーンでの会話例>
A: I heard you had to revise your proposal.
企画書を修正しなければならなかったらしいね。
B: It was worse. I had to start from scratch.
ひどかったよ。最初からやり直さなければならなかったよ。
<日常シーンでの会話例>
A: Why are you throwing away the cookies?!
どうしてクッキーを捨てているの?!
B: They taste terrible. I’ll start from scratch and make a new batch.
ひどい味なんだ。最初からやり直して、新たに1回分焼くよ。
◆知っておきたい英語表現
build from scratch(ゼロから築き上げる)、make from scratch(はじめから作る)のように、他の動詞を組み合わせた例文も合わせて覚えておきましょう。
<例文>
My father built this shed from scratch.
私の父はこの小屋をゼロから建てた。
Could you show me how to make an apple pie from scratch?
アップルパイをゼロから作る方法を教えてもらえる?
◆さらに応用TIPS!
すぐに使える「電話を取り次ぐ」表現を紹介します。ぜひ使ってみてくださいね。
Mike, Mr. Tanaka from ABC is on the line for you.
マイク、ABC社の田中さんからの電話がつながっています。
*on the line「電話に出て、電話がつながって」
Linda, Hiroshi is on hold for you.
リンダ、ヒロシから電話がかかってきています。
*on hold「保留で、切り替えを待って、電話に出て」
It’s Nancy. Should I ask her to call back?
ナンシー(からの電話)です。電話をかけ直すよう頼みましょうか?
*call back「電話をかけ直す」
I have a Harry Johnson on the line. Should I put him through?
ハリー・ジョンソンという人から電話です。(彼からの)電話をつなぎますか?
*put through「電話をつなぐ」
漫画イラスト: トーマス・オン・デマンド