【本日のテーマ】「最善を尽くします」
「最善を尽くす」という意味の代表的なイディオムといえば do one’s best や try one’s best ですが、今回は best shot を使ったイディオムをご紹介します。さっそく、今回のポイントをおさらいしてみましょう。
◆日本人が間違えやすいポイント
マラソン大会当日の朝。応援の言葉をかける日本人の母に対し、息子は I’ll give it my best shot. と返答します。これを聞いた母親は best shot を文字通り「ベストショット、最高の写真」と誤解しました。もちろん best shot はその意味で用いられることもありますが、今回のシチュエーションでは、その後の会話にすれ違いが生じてしまいました。
give it one’s best shot は「最善を尽くす、精いっぱい頑張る」というイディオムです。
shot は「(銃などの)射撃」、「(ゴルフやテニスなどの)ショット」、「(写真の)ショット」などさまざまな意味を持つ単語ですが、このフレーズで best shot は「全力、最大限の試み」という意味で用いられています。
また、 I’ll give it my best shot. というフレーズの it は形式的なもので、最善を尽くす「対象」を指します。「対象=的」ととらえ、「的をめがけてできる限りのショットを放つ → 最善を尽くす」とするとイメージしやすいのではないでしょうか。
たとえば今回はマラソン大会について話しているので、I’ll give it my best shot. =「私は(マラソン大会に)最善を尽くします」ということになります。ほかにも、テストについての会話で I’ll give it my best shot. といえば「私は(テストに)最善を尽くします」、面接についての会話で I’ll give it my best shot. といえば「私は(面接に)最善を尽くします」という意味にとらえればOK。それぞれの文脈から判断しましょう。
このフレーズは、家族や友人といった親しい間柄の人との会話だけでなく、ビジネスの場でも使うことができます。会話例をチェックしましょう。
A:To stay in business, we need to get this job.
事業を継続するため、我々はこの仕事を取る必要があります。
B:I’ll give it my best shot.
最善を尽くします。
I’ll give it my best shot. は自分が全力を尽くして頑張るという意味合いですが、相手を激励する場合は Give it your best shot.(精一杯頑張って)、自分たちを鼓舞する場合は Let’s give it our best shot.(最善を尽くしてみよう)のように使います。
◆知っておきたい英語表現
日本人の妻に対し、外国人の夫が言った I think you’ve misunderstood. というフレーズは「あなたは誤解していると思います」という意味です。
相手の勘違いを指摘するとき、あまり直接的にならないように言葉を選ぶのは、日本語も英語も同じ。ただ単に You’ve misunderstood.(あなたは誤解しています)と言うよりも、I think … を頭につけることでマイルドな表現になります。I think の部分を maybe(もしかしたら)に置き換え、Maybe you’ve misunderstood. としてもいいでしょう。
漫画イラスト: トーマス・オン・デマンド