【本日のテーマ】「知らせてくれてありがとう」
今回は、前もって連絡をくれた相手にお礼を述べる表現をご紹介します。ビジネスシーンでもよく使われるフレーズです。さっそく、ポイントをおさらいしてみましょう。
◆日本人が間違えやすいポイント
ボブから電車の遅延の連絡を受けた日本人は、同僚のトムにその件を伝えるため電話しました。するとトムはThanks for the heads-up. と一言。いったいどのような意味でしょうか。
head は「頭」、up は「上のほうへ、上がって」という意味なので、このフレーズを聞いた日本人は、頭上を見上げるイメージを想像しました。実は heads-up はこれでひとつの名詞で「注意喚起、警告のメッセージ」という意味の単語です。といっても、決してネガティブな意味だけでなく、時間や予定の変更といったお知らせや状況報告など、さまざまな連絡事項に対して使うことができます。
Thanks for the heads-up. は「注意喚起をありがとう」→「知らせてくれてありがとう」と、事前に連絡や情報をくれた相手にお礼を述べる表現になります。Thanks for the advance notice.(事前に知らせてくれてありがとう)や Thanks for the warning.(忠告をありがとう)と同じ意味合いです。
マンガの中で、外国人のトムはこのセリフを言いながら親指を立てるジェスチャー(Thumbs up)をしています。このジェスチャーは、アメリカなどの英語圏では「いいね!」 といったポジティブな意味合いですが、中東などでは侮蔑表現にあたることも念のため覚えておきましょう。
heads-up を使ったフレーズは、ほかに I’ll give you a heads-up.(事前にあなたに知らせるよ)や Just a heads-up, …(先に知らせておくと~)などがあります。いずれも相手にとって必要な情報やこれから起こりそうなことを前もって連絡するフレーズとして、ビジネスシーンで広く使われています。
ちなみに、heads-up のハイフンはしばしば省略されます。メールなどで書く際、ハイフンなしの Thanks for the heads up. でも問題はありませんが、head は必ず複数形の heads になる点に注意しましょう。
◆さらに応用TIPS!
heads upは、名詞のほかに Heads up!(気をつけて!)と相手に注意を促したり、警告するフレーズとしても使われます。「頭を上げて」→「気を付けて、注意して」というイメージです。何かが飛んでくる、頭上から落ちてくるといった状況で「気をつけて!」「危ない!」と相手に注意喚起するときに使います。Watch out! と同じ意味です。
また、Keep your head up! は落ち込んでいる人に対して「元気を出して!」と励ますフレーズですが、アメリカ英語ではどちらかというと Keep your chin up! のほうが一般的です。名詞の chin は「顎」ですが、chin up は「顎を上げる」→「元気を出す」という励ましの意味を持つイディオムになります。
漫画イラスト: トーマス・オン・デマンド