【本日のテーマ】「落ち着いて」
今回は、フレーズを知らなかったために、相手の発言の意味を理解できなかった事例です。さっそくポイントをおさらいしてみましょう。
◆日本人が間違えやすいポイント
いつも原稿の締切を守らない外国人ライターに、日本人が腹を立てています。そんな様子を見た外国人の同僚がKeep your shirt on. と声をかけました。フレーズの意味がピンとこなかった日本人は、シャツのすそが出てしまったのかと思い、ベルトの中に入れようとします。keep on は「(服などを)着たままでいる」という意味なので「シャツを着たままでいて」と指摘されたと思ったためです。
確かにこのフレーズの直訳は「シャツを着たままでいて」ですが、実は Keep your shirt on. は「落ち着いて、冷静になって」と、いら立っている相手をなだめるときに用いる決まり文句です。
会話での使用例をみてみましょう。
A: What was she thinking? I can’t believe she did that!
彼女は何を考えてたの? それをしたなんて信じられない!
B: Keep your shirt on, I’m sure it will be okay.
落ち着いて、きっと大丈夫だよ
Keep your shirt on. は、おもに親しい間柄で使われる表現なので、上司や目上の人、親しくない相手には使わないようにしましょう。
Keep your shirt on. と同じ意味を持つフレーズには、
Calm down.(落ち着いて)
Relax.(リラックスして)
などがあります。
また、
Take a few deep breaths.(数回深呼吸して)
Don’t worry about it.(気にしないで)
のように声をかけるフレーズもあわせて覚えておくとよいでしょう。
◆さらに応用TIPS!
仕事相手や仕事仲間との会話の中で気をつけておきたいポイントをいくつかご紹介します。
<仕事相手にはマイルドな表現を!>
日本人が外国人ライターに対して
Please send it as soon as possible!(できるだけ早くお送りください!)
と声を荒くしましたが、これはかなり直接的かつ強制力を持った表現です。
親しい同僚や部下、気心の知れた仕事相手であっても、もう少しマイルドに
Could you send me as soon as possible?
もしくは
It would be great if you could send me as soon as possible.
という言い回しを用いるのがベターです。
<目上の立場の人に対して使うと失礼になる表現に注意!>
as soon as possible(できるだけ早く)や、その略語である ASAP は、ビジネスシーンにおける会話やメールでも目にしますが、上司から部下に使うことはあっても、部下から上司に使うことはありません。ぶしつけな印象を与え、失礼にあたります。
上司や親しくない相手に対しては、as soon as possible の代わりに at one’s earliest convenience というフレーズを使いましょう。「ご都合がつき次第、お時間のあるときに」というニュアンスで、相手の都合を配慮した丁寧な表現になります。最後に、例文を挙げておきましょう。
It would be great if you could check this document at your earliest convenience.
(ご都合がつき次第、この書類を確認していただけるとありがたいです)
漫画イラスト: トーマス・オン・デマンド